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『令ジェネ』も期待!期待の新鋭・杉原輝昭監督の演出とは

一年ぶりのブログ更新です。まじか……



ちょうど1週間前、映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』の脚本が高橋悠也さん、監督が杉原輝昭さんと発表されました!
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脚本の高橋さんにつあてはもはや説明不要でしょう。「エグゼイド」で全話脚本を執筆し、「ゼロワン」でもメインライターです。「平成ジェネレーションズ」2作品でクロスオーバー作品の手腕も立証済みですね。

では、監督の杉原輝昭さんはどういう方なのか? 

杉原監督は「ゼロワン」のパイロット監督(1・2話を担当 )にして、「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」でもパイロット監督を担当。メイン監督として、「ルパパト」では1・2話のほかにも、劇場版、伝説の旅行回、デストラ撃破回、最終3話などを監督されています。

デビューは『テレマガとくせいDVD 手裏剣戦隊ニンニンジャーカニンジャーVSスターニンジャー百忍バトル!』。その後ジュウオウジャーでTV本編の監督デビュー、キュウレンジャーを経てルパパトではメイン監督に、ルパパト終了後は「仮面ライダージオウ」のアギト回を担当し、その後ゼロワンに……という形です。


さて、経歴紹介はここまでとして、杉原監督の演出はどういう特徴があるのでしょうか?
杉原監督らしい演出として多くの人が認めるのは、「カメラワーク」や「アニメ的演出」でしょう。


①カメラワーク

杉原監督作品では主観的な視点を多用し、ヒーローが超ダイナミックに動き回るのが特徴でしょう!

代表例として挙げられるのは、なんといっても「ルパパト」の360°カメラを利用した主観視点! 1話を見た時筆者は度肝を抜かれました。
この360°カメラを使った映像は他の監督回でも多用され、「ルパパト」を代表する演出となりました。

杉原監督作品はTVデビューの「ジュウオウジャー」から「ゼロワン」に至るまで、このような演出がしばしば使われます。
ジュウオウジャー」で敵幹部のアザルドが撃破される46話では、等身大戦闘においてはジュウオウジャー視点でアザルドに攻撃を加える様子が撮られ(GoPro使ってるのかな?)、また巨大戦ではアザルドの核を破壊する際、ジュウオウジャーたちがロボから出てきて、ミニチュアビルを跳び移りながら核に向かっていく様子が描かれます。合成が素晴らしい!

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「ゼロワン」1話では、ゼロワンが車から車に跳び移り、バスの中を縦横無尽に動き回る姿が見られました。(停車ボタンが蹴られて「つぎ とまります」と鳴るのが芸コマ!) 
空中と跳び移っていくという点で両者に共通点もありますね。

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また、「ルパパト」では360°カメラのほかに、巨大戦においても大胆なカメラワークが特徴的でした。
第2話においては前半にルパンレンジャーとパトレンジャーがビークルで追いかけっこをし、後半は敵のガラット・ナーゴと、ルパンレンジャーのロボであるルパンカイザーの一騎討ちと、2度にわたって巨大戦が繰り広げられるわけですが……
どちらにおいてもCGが多用されているのが大きな特徴といえましょう。戦隊ロボ戦はCGの使用も増えてきたとはいえ、現在もアナログ特撮がおもに使われているわけですが、今回は数えてないけどおそらく尺の半分以上はフルCGのカットなのではないでしょうか?
CGの多用によってルパンカイザーは従来のロボにはない、スピーディーかつダイナミックな戦闘が可能となったのです。

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また、劇場版ではパトレンジャーのパトカイザーと、劇場限定となるルパンレックスが共闘。本編にはないルパンレンジャー&パトレンジャーの二大ロボが並び立つことになるわけですが、ここでもCGを多用し超カッコいいロボ戦となっております。(これに関してはのちほど詳しく)

②アニメ的演出

杉原監督作品では、戦闘・ドラマパートともに、アニメチックな演出が多く見られるのがもう一つの大きな特徴といえると思います。
「ジオウ」のアギト編では、ジオウトリニティとアギト・トリニティフォームの共闘が実現したわけですが……ラストのアナザーアギトに向かってのダブルライダーキックが白眉です。
①アナザーアギトにアップでキックが炸裂!→②バウンドして、さらにもう一度蹴りが当たる→そのままジオウ&アギトがアナザーアギトを、地面を削りながら押していって最後には壁に激突……という流れになっております。杉原監督がこの回で初のライダー担当ということでさぞ気合いも入っていただろうと想像できますが、劇場版かと思うほどでした。(普通の回だと、横向きにライダーが怪人に突っ込んでいって爆発するだけとかざらにあるし……)(スケジュールの都合とかもあるだろうし他の監督を悪く言うつもりはないけど)

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そして、炎から出てくるジオウ&アギトのなんとかっこいいことか……!
こういう一枚絵的な決めカットをアニメ的に感じるのですが、どうでしょうか?
(余談ですが、もし山口監督だったらCGじゃなくて本物の炎だったと思う)

さて話題を戻して「ルパパト」劇場版のロボ戦。
このロボ戦は、杉原監督の凄いところが全部詰まってるといっても過言ではないと思います。もちろん特撮監督である佛田監督が貢献したところも大きいでしょうが。
ファンネルで攻撃するルパンレックスもハイパーかっこいいですし……そのルパンレックスが空中に飛び上がり、月を背負うのがまたたまらない!
月や夕日を背負う戦隊ロボは比較的よくある演出ですが……固定カメラワークではなく、他の視点から違和感なく繋いでおり、CGが発展した時代ならではの演出といえます。
ラストのとどめは、二体の怪人に向かいルパンレックス&パトカイザーがすれ違いざまに斬りつける!ここのカメラワークもアナログではまずできない、高速でビル街を回り込むようなものに。こうした高速での戦闘は、劇場で見るとさらに迫力が増します。
そして画面両端から二大ロボが中央の怪人を一閃……そして魅利と圭一郎がオーバーラップされます。
「ルパパト」視聴者はご存知のように、この作品全体で快盗と警察、特に魅利と圭一郎の関係性が丁寧に描かれてきました。魅利は圭一郎=パトレン1号と知っているが、圭一郎は魅利=ルパンレッドと知らない非対称。そして魅利はまっすぐな圭一郎に憧れとコンプレックスを抱く……そんな複雑な関係を、このカットは言葉ではなく示しているといえます。

ドラマパートの流れに移行します。「ルパパト」ラスト3話ではついにルパンレンジャーの招待をパトレンジャーが知ったうえで物語が進行するわけですが……49話では魅利のコンプレックスがついに昇華される様が描写されます。
その場面で、詳しくはネタバレになるので書きませんが……朝焼けを背景として描かれるのです。

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ルパンレンジャーのメンバーは夜に由来する苗字、パトレンジャーは昼に由来する苗字を持ち、なかでも「夜」野魅利と「朝」加圭一郎。その二人が交わり、拗れていた関係性がいまここに昇華される。そのシーンにふさわしいメタファーだと思いませんか?
さらに最終回ではその二人の精神的な対話において、ウユニ塩湖が用いられています。

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アニメかよ……!


このように、杉原監督は「ダイナミックなカメラワーク」×「アニメ的な演出」により、新鮮な映像を私達視聴者に見せてきてくれました。
「令和 ザ・ファースト・ジェネレーション」は杉原監督初の長編映画。話の展開はもちろん、このような演出に注目して見るのも面白いのではないでしょうか?

(ちなみに→ルパパト映画公開前、かの悪名高きマイナビニュースが杉原監督にインタビューしています。そちらも読んでみるとさらに面白いかと)

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