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『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』新時代のライダーアクションを体感せよ

『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』が公開中だ。夏公開の予定が、コロナの影響で延期になった映画だ。
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で、観に行ったのだが……本当にアクションが凄い。このアクションの質と量の両立、そして熱量の高さは坂本浩一作品、特に『劇場版 仮面ライダーW AtoZ 運命のガイアメモリ』に匹敵すると思う。
『劇場版ゼロワン』の監督は、杉原輝昭。以前もブログで特集したが、ダイナミックなカメラワークとアニメ的な演出が得意な監督だ。
shikiponpishyn.hatenablog.com
そして、本作ではそのような長所が更に活かされ、まさに新時代の仮面ライダーにふさわしいアクション作品に仕上がった。
以下、箇条書きの形にはなってしまうが、『劇場版ゼロワン』のアクション(ほか)の凄さを自分なりに分析してみた。


①殺陣がすごい。
テレビシリーズに引き続き、アクション監督は渡辺淳が担当。
渡辺氏は2号・3号ライダーのスーツアクターを多く任されたが、同年代や上の世代もプレイヤーとして活躍している中、Vシネマ等のアクション監督を経て『ゼロワン』で本編のアクション監督に抜擢された。
まだ30代という若い感性を活かし、アクロバット等を取り入れた現代的なアクションを手掛けている。
また、杉原監督はガンマニアでもあり、前作『令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』に引き続き、仮面ライダーバルカンおよびバルキリー、そしてAIMS隊員の統率のとれた軍隊的な動きもアクションに取り入れられている。

また、アクションのスタイルによるキャラクターの性格付け・心情の変化もアクション映画の重要な要素だが、本作においては、普段は比較的スマートな戦闘スタイルのゼロワンが、暴走形態・ヘルライジングホッパーに変身すると、我を忘れ相手にマウントをとってボコボコに殴るなど、悲痛なほど非常に荒々しい戦闘スタイルになる。また、AIMS隊員と量産型ライダー・アバドンとの練度の差もはっきり見てとれるようになっている。

②アクションのバリエーションがすごい。
ともすれば、普通に何回か戦闘があり、クライマックスはCGの巨大な敵を倒して終わり、になってしまいがちなライダー映画だが……本作は様々なシチュエーションでの戦闘がストーリーに沿って配置されており、飽きない工夫がなされている。
序盤には、仮面ライダーバルキリーによるバイクアクションがある。東映撮影所内でのアクションとなっているが、狭い路地にゴチャゴチャと撮影機材が置いてあるという撮影所の特性を活かし、軽量のバイクで路地裏を駆け巡るスピード感あふれるシーンとなっている。本編でバルキリーがあまり活躍に恵まれなかったこともあり、感無量であった。
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また、本作では仮面ライダーVS戦闘機という珍しいシチュエーションもある。ライダー映画おなじみのCGバトルではあるが、恒例の巨大クリーチャー戦を避け、戦闘機との空中戦とすることで、新鮮さと迫力が生まれた。
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その他、戦闘が行われる場所もバリエーションに富み、「戦ってるテンション上がる場面なのに退屈……」とあうことがなくなっている(と思う)。

③タイミングがすごい。
杉原監督はアニメ的演出が巧みだが、アニメーションにおいてはタイミングが重要とされる。アニメの作画については詳しくないので雑語りになっていたら申し訳ないのだが、本作は映像のタイミングも実に快楽的だ。
終盤はゼロワンと後継スーツ・ゼロツーがまさかの共闘するシチュエーションがあるが、両ライダーとも高速移動がウリだ。そして、杉原監督によって演出される彼らのアクションは……絶妙に目で追いきれない。長く残る光の軌跡と、目にも留まらぬ速さの本体。合成を巧みに使ったそのスピードアクションは、「彼らは高速で動いている」と観る者に理解させるだけでなく、スピード感による快感を覚えさせてくれる。
また、ゼロワンのトレードマーク演出として、必殺技を出すとその名前の文字がデカデカと画面いっぱいに現れるというのがある。(『ルパン三世』のサブタイトルとか、『血界戦線』の必殺技演出をおもいうかべてほしい。あんな感じ)本作でもそれがあるが、「そろそろこの演出が来るかなー」という絶妙なタイミングで文字が挿入される。大画面の迫力もあいまって、本当にうっとりさせられる。

④音響がすごい。
これは映画館の設備も関係あるかもしれないが、重低音の響きが凄い!ただ漠然とテレビシリーズの延長で音をつけているのではなく、しっかりと映画用の音響設計がなされていることがわかる。

⑤画作りへの気合いがすごい。
上記のようにアクションへの熱量が物凄い映画だが、だからといってそれ以外が疎かになっているわけではない。
ドラマパートも、しっかりとレイアウトが計算されており、美しい構図で見ることができる。ハイテンションな場面と静かに魅せる場面の緩急もしっかりとついている。総じて、「なんとなく撮っている」場面がないのだ。
例えば、冒頭から暗闇の中蛍光色に光る仮面ライダーゼロツーVSエデン……これまでの作品には見られなかった斬新な画作りだ。「これまでにないものを」という監督他スタッフの熱がこちらまで伝わってくる。
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また、伊藤英明氏演じるエス仮面ライダーエデンに変身するシークエンスは非常に力を入れた演出がされている。変身エフェクトがストーリーと関わりのある形にもなっており、カット割りも間の使い方もCGも非常にかっこいい。必見!
もちろん、それを支える伊藤氏、そして主演の高橋文哉氏などの俳優陣も称賛したい。

このように、アクションや画作りという面では、仮面ライダー映画でもかなり上位に入る出来だと感じられた。(ストーリーも面白いよ!)
映画館で観てこその作品に仕上がっているので、仮面ライダーが元々好きな人だけでなく、アクション映画やアクションアニメが好きな人も是非鑑賞してほしい。




※12/25現在新型コロナウイルス感染者が拡大傾向にあり、地域によっては医療の逼迫も報道されています。
映画館の感染リスクは低いことが実証されていますが、健康と安全のため、また医療への負担を増やさないためにも、手洗い・マスクなどの基本的な対策のほか、感染リスクの高まる5つの場面、特に会食などマスクなしで話す場面をできるだけなくし、万全な対策をした上で映画を観ましょう。(感染経路不明の例もその多くが会食で感染していると考えられるそうです)